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宮崎県人権教育・啓発推進方針

 宮崎県では、平成17年1月に策定した「宮崎県人権教育・啓発推進方針」を、現在の社会情勢の変化に対応していくため、平成25年度に行った「人権に関する県民意識調査」の結果や「宮崎県人権教育・啓発推進懇話会」でいただいた意見等を踏まえ、改定しました。

1 改定の概要

  1. 女性、子ども、高齢者等の分野施策の課題において、関係法令・計画等を含め、現時点における現状と課題を踏まえた変更を行いました。
  2. 犯罪被害者等に関する問題について、警察だけでなく関係部局の取組も盛り込みました。
  3. 分野別施策の課題に新たに「北朝鮮当局による拉致問題等」を加えました。

2 改定後の内容について(各章ごとの内容)

第1章 はじめに

1 方針改定の趣旨
 本県では、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」(平成12年(2000年)制定。以下「人権教育・啓発推進法」という。)及び同法に基づく「人権教育・啓発に関する基本計画」の趣旨を踏まえて、平成17年(2005年)に策定した「宮崎県人権教育・啓発推進方針」(以下「方針」という。)に基づき、「一人ひとりが尊重され、個性と能力が発揮される社会」を目指して、総合的かつ効果的な人権教育・啓発に関する施策を推進してきました。
 こうした中、平成22年(2010年)から平成23年(2011年)に県内で発生した口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ、新燃岳の噴火という一連の災害の中で、全国から温かい御支援を賜り、大いに勇気付けられ、励まされました。さらに、平成23年(2011年)3月11日に発生した東日本大震災においては、全国各地で被災地復興のための様々な取組が行われましたが、これらのことは、私たちに「人と人のつながり」や「思いやりの心」の大切さに気付かせ、日常の生活においても心の豊かさが改めて重視されるようになりました。
 また、平成25年(2013年)に県が実施した「人権に関する県民意識調査」では、「宮崎県が人権が尊重される県になっている」と回答した割合が47.7%となっており、前回調査(平成20年:42.4%)を上回っています。
 一方で、国内の状況をみると、学校でのいじめや女性・子ども・高齢者・障がい者など社会的弱者に対する暴行・虐待の増加をはじめ、インターネットの急速な普及の中で、不特定多数が閲覧できるインターネット上に、個人の名誉を侵害したり、差別を助長する表現が掲載されているほか、特定の国籍、民族の外国人を排斥する趣旨の言動等、人権にかかわる様々な問題が生じています。
 また、本県に関しては、平成25年(2013年)の「人権に関する県民意識調査」では、子どもや高齢者、インターネット等の問題については関心が高い一方で、普段見聞きする機会の少ない人権問題については関心が低くなっており、さらに、すべての個別の人権問題について、現在どのようなことが起きているのか「わからない」と回答した人の割合も増加しています。
 一人ひとりの人権が尊重される社会を築いていくためには、地域の中で豊かな人間関係を再構築し、様々な課題を自分に関わる問題として関心を持ち、その解決に取り組んでいくことが必要です。
 この度の改定は、これまでの成果や課題を踏まえ、宮崎県人権教育・啓発推進懇話会や「人権に関する県民意識調査」及びパブリックコメント等による県民の皆さまの御意見を反映し、現在の方針を継承・発展させながら、新たな人権問題等に対応するため、宮崎県の目指すべき人権教育・啓発推進の在り方についての方向性を示すものです。
2 方針の目標
一人ひとりが尊重され、誰もが持てる力を発揮し、生き生きと活躍できる社会
 人権とは、すべての人が生まれながらに持っている、人間らしく生きていくために必要な、誰からも侵されることのない基本的な権利です。
 私たちは一人の力だけでは生きていくことはできません。家族や学校、職場、地域の中で、様々な人との関わりの中で暮らしています。一方、我が国、そして本県は、これから本格的な少子高齢化・人口減少時代を迎えます。また、人、物、情報などが国境を越えて自由に行き交うボーダレス化・グローバル化もますます進んでいきます。
 こうした中、「心ゆたかに暮らせるみやざき」をつくっていくためには、年齢や性別、障がいのあるなし、国籍など、一人ひとりの個性や違いを尊重し合い、一人ひとりが夢や目標を持ち、その力を伸ばし、活躍できる社会であることが大切です。

 このため、この方針は、「一人ひとりが尊重され、誰もが持てる力を発揮し、生き生きと活躍できる社会」の実現を目標とし、次の3つの取組を基本に進めていきます。
  • 県民一人ひとりが人権問題を自分に関わる問題として関心を持ち、互いの人権を尊重し合える社会づくり
  • 互いの個性や価値観の違いなどを認め合い、一人ひとりの能力が十分に発揮できる社会づくり
  • 誰もが地域や人々のつながりの中で、共に支え合い、共に生きる社会づくり
3 方針の性格
 この方針は、本県の人権教育・啓発の推進に当たって、次の性格をもつものとします。
  1. 人権教育・啓発推進法の趣旨を踏まえ人権教育・啓発を総合的かつ効果的に推進するために策定するものです。
  2. 人権尊重の視点に立った行政を推進する県の基本姿勢を示すものであり、県が行う人権教育・啓発の施策推進の方向性を示すものです。
  3. 市町村、民間団体(企業・NPO※1等をいう。以下同じ)及び県民が、この方針の趣旨を踏まえ、それぞれが主体者であることの認識のもとに、自主的な取組を実施することを期待するものです。
4 人権をめぐる国内外の状況

(1) 国際社会の動向

 20世紀、人類は二度の世界大戦を経験して、大量虐殺や特定民族への迫害などの人権侵害や人権抑圧に対する反省から、平和の大切さを学び、人権の尊重が平和の基礎であるという教訓を得ました。
 そして、世界の平和を願って昭和20年(1945年)に国際連合(国連)が結成され、昭和23年(1948年)の第3回国連総会で生命・身体の安全その他多くの基本的人権についての基準を示した「世界人権宣言」が採択されました。
 その後、この宣言に法的拘束力をもたせるため、「国際人権規約」をはじめ「人種差別撤廃条約」(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)、「女子差別撤廃条約」(女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)、「児童の権利条約」(児童の権利に関する条約)など人権に関する国際条約が採択されました。
 また、国際婦人年や国際児童年、国際障害者年を定め、人権が尊重される社会の実現に取り組んできました。
 しかしながら、世界各地では依然として、人種、民族、宗教等の対立による地域紛争が多発し、人権が侵害される状況が続いています。
 このような中で、平成5年(1993年)にウィーンにおいて世界人権会議が開催され、「現代社会の諸問題の解決には人権意識の徹底・人権教育が不可欠であること」などが確認されました。  そして、平成6年(1994年)の第49回国連総会において、平成7年(1995年)から平成16年(2004年)までを「人権教育のための国連10年」とすることを決議するとともに行動計画を示し、人権という普遍的文化が構築されることを目指して、世界各国において国内行動計画を策定するように求めました。
 さらに、平成16年(2004年)の第59回国連総会において、人権教育がすべての国で取り組まれるよう、「人権教育のための国連10年」の取組を継承する「人権教育のための世界計画」が採択され、平成17年(2005年)から実施されています。

(2) 国内の動向

 国連が、「人権教育のための国連10年」を決議したことを受けて、我が国では、平成7年(1995年)に、内閣総理大臣を本部長とする「人権教育のための国連10年推進本部」を内閣に設置し、平成9年(1997年)に「『人権教育のための国連10年』に関する国内行動計画」(以下「国内行動計画」という。)を策定しました。この国内行動計画では、人権の概念及び価値が広く理解され、人権という普遍的文化の構築を目指して、学校をはじめ地域社会や企業などのあらゆる場を通じた人権教育を推進するとともに、女性、子ども、高齢者、障がいのある人、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者等、刑を終えて出所した人などの重要課題に積極的に取り組むこととされました。
 また、人権教育・啓発の在り方や人権侵害の被害者救済の在り方などについて検討していた人権擁護推進審議会が、平成11年(1999年)に人権教育・啓発の基本的な事項について国に答申を行い、これを受けて、平成12年(2000年)に「人権教育・啓発推進法」が施行されました。この法律には、国及び地方公共団体は、「人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、実施する責務を有すること」、及び「国は施策を総合的かつ計画的に推進するために、基本的な計画を策定しなければならないこと」が規定されています。これに基づき、国では、平成14年(2002年)「人権教育・啓発に関する基本計画」を策定し、様々な人権教育・啓発に関する施策の総合的・計画的な推進を行っています。平成23年(2011年)には、同計画の各人権課題に「北朝鮮当局による拉致問題等」を加える見直しが行われています。

(3) 本県の動向

 本県においても、平成11年(1999年)に「『人権教育のための国連10年』宮崎県行動計画」(以下「県行動計画」という。)を策定し、人権という普遍的文化の創造を目指し、一人ひとりが有している人権を尊重し、共に生きる社会の実現に向けて、様々な施策を実施してきました。
 県行動計画の目標年次である平成16年(2004年)を迎え、また、平成12年(2000年)に施行された人権教育・啓発推進法第5条で地方公共団体の責務として、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、実施することが規定されていることから、県行動計画を継承し、人権教育・啓発推進法の趣旨を踏まえたものとして、平成17年(2005年)に「宮崎県人権教育・啓発推進方針」を策定し、総合的かつ効果的な人権教育・啓発の取組を行っているところです。

第2章 人権教育・啓発の基本的な在り方

1 人権教育の意義・目的
 人権教育とは、人権教育・啓発推進法では「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」と定義されており、その基本理念において、「国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるよう」行うことが求められています。すなわち、人権教育は、基本的人権の尊重の精神が正しく身に付くよう、地域の実情を踏まえつつ、学校教育及び社会教育を通じて行われる教育活動となります。
 このため、学校教育では、幼稚園等、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等の教育目的や目標の実現を目指して、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性などを培う教育を組織的・計画的に行っていく中で、幼児・児童・生徒・学生の発達段階に応じた人権尊重の意識を高める教育を行っていく必要があります。
 また、社会教育では、生涯学習の視点に立って、青少年のみならず、幼児から高齢者までを対象に多様な学習の機会や場所を提供していく中で、人権尊重の意識を高める教育を行っていく必要があります。
 こうした学校教育及び社会教育における人権教育によって、人々が、自らの権利を行使することの意義や他者に対して公正・公平であり、その人権を尊重することの必要性、様々な課題などについて学び、人権尊重の精神を生活の中に生かしていくことが求められています。
2 人権啓発の意義・目的
 人権啓発とは、人権教育・啓発推進法では「国民の間に人権尊重の理念を普及させ、及びそれに対する国民の理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)」と定義されており、人権教育と同様、その基本理念において、「国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるよう」行うことが求められています。すなわち、広く県民の間に、人権尊重思想の普及高揚を図ることを目的に行われる研修、情報提供、広報活動等で人権教育を除いたも のが、人権啓発となります。
 このため、県民に対しては、県民の一人ひとりが人権を尊重することの重要性を正しく認識し、他人の人権にも十分に配慮した行動がとれるようにするための啓発活動が重要であり、「人権とは何か」、「人権の尊重とはどういうことか」、「人権を侵害された場合に、これを排除し、救済するための制度がどのようになっているか」等について正しい認識をもつとともに、それらの認識が日常生活の中で、その態度面、行動面等において確実に根付くようにすることが人権啓発の目的となります。
3 人権教育・啓発の基本的な在り方
 人権教育・啓発は、人権尊重社会の実現を目指して、日本国憲法や教育基本法などの国内法、人権関係の国際条約などに則して推進していくべきものです。その基本的な在り方としては、人権教育・啓発推進法が規定する基本理念を踏まえ、次のような点が挙げられます。

(1) 実施主体間の連携と県民に対する多様な機会の提供

 人権教育・啓発にかかわる活動は、国・県・市町村・民間団体など様々な実施主体により、家庭、学校、職場、地域社会などあらゆる場と機会を通して実施されることによって効果を上げるものと考えられます。  このため、これらの実施主体がその担うべき役割を踏まえた上で、相互に十分な連携をとって、県民の一人ひとりに対して、その生涯を通して、多様な学習機会を提供していくことが重要です。

(2) 発達段階等を踏まえた効果的な方法

 人権教育・啓発は、幼児から高齢者に至る幅広い層を対象にするものであり、その活動を効果的に推進していくためには、人権教育・啓発の対象者の発達段階を踏まえ、地域の実情等に応じて、その対象者の家庭、学校、職場、地域社会などにおける日常生活の経験等を具体的に取り上げるなど、創意工夫を凝らして、ねばり強くこれを実施する必要があります。
 また、「法の下の平等」、「個人の尊重」といった普遍的な視点から人権尊重の理念を県民に訴えかけることも重要ですが、真に県民の理解や共感を得るためには、これと併せて、具体的な人権課題に即し、県民に親しみやすく分かりやすいテーマや表現を用いるなど、様々な創意工夫が求められます。

(3) 県民の自主性の尊重と教育・啓発における中立性の確保

 人権教育・啓発は、県民の一人ひとりの心の在り方に密接に関わる問題でもあることから、その自主性を尊重し、押し付けにならないように十分留意する必要があります。
 また、人権教育・啓発の推進に当たっては、行政や教育の主体性や中立性を確保した上で、政治運動や社会運動との関係を明確に区別して行わなければなりません。

第3章 人権教育・啓発の推進

1 あらゆる場を通じた推進

(1) 家庭における人権教育・啓発

 家庭は、すべての教育の出発点であり、家族とのふれあいを通じ、幼児期から豊かな情操や思いやり、生命を大切にする心、善悪の判断、生活習慣やマナーを身に付けるなど、人間形成の基礎を育む上で重要な役割を担っていますが、近年、少子化・核家族化といった家庭環境の変化などに伴い、子どもへの過保護や過干渉、放任といった現状が見られ、家庭における教育機能の低下が指摘されています。  また、家庭内においては、子どもへの虐待、高齢者への介護放棄、更には配偶者等によるドメスティック・バイオレンス(DV)※2などの様々な人権問題が生じており、生活の基礎となる家庭でそのような問題を生じさせないための対策を講じていく必要があります。  このため、以下のような施策の推進を図ります。
  1. 大人自身が偏見をもたず差別をしないことなどを、日常生活を通じて自らの姿をもって子どもに示していくことが重要であることから、大人も子どもも共に人権感覚が身に付くような家庭教育に関する学習機会の充実に努めます。
  2. 子育てや家事、介護などについての不安や悩みに関する相談体制の充実等に努めます。
  3. 子育てや家事、介護等について、固定的な性別役割分担意識※3にとらわれることなく、男女が共に協力し合える男女共同参画社会※4の実現に向けた家庭づくりを図るため、啓発活動の充実に努めます。
  4. かけがえのない生命、身体そして家族を大切にする心や習慣を大人も子どもももてるよう、豊かな人間性を育む家庭教育の支援に努めます。

(2) 学校における人権教育

 学校においては、幼稚園等、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等の教育目的や目標の実現を目指した教育活動が展開される中で、幼児・児童・生徒・学生が、社会生活を営む上で必要な知識・技能、態度などを確実に身に付けることを通じて、人権に関する知識や人権を尊重する意識・態度を身に付けるようにしていく必要があります。
 このため、以下のような施策の推進を図ります。
  1. 子どもたちの人権尊重の精神を育成していくためには、まず子どもの人権を尊重することが大切です。このため、「児童の権利に関する条約」の趣旨を踏まえて、一人ひとりの子どもの人権を尊重した学校運営や教育活動に努め、子どもたちが豊かな人間関係の中で安心して楽しく学ぶことのできる環境の確保に努めます。
  2. 子どもたちが、人権問題について正しい理解を深めるとともに、人権尊重の意識を高めることができるように、人権教育に関する指導内容や方法を充実させます。
  3. 「いじめ防止対策推進法」(平成25年(2013年)制定)に基づいて作成した「宮崎県いじめ防止基本方針」(平成26年(2014年)2月策定)にのっとり、いじめは深刻な人権侵害であり、どの子どもにも、どの学校でも起こりうることを踏まえ、すべての児童生徒を対象としたいじめの未然防止の観点が重要であることから、「いじめは決して許されない」ことの理解や、自他の存在を認め、お互いの人格を尊重し合える態度の育成等のために、学校の教育活動全体を通じ、人権教育、道徳教育や特別活動、体験活動等の充実を図ります。
  4. 豊かな人間性や社会性を育むため、社会教育との連携を図りつつ、ボランティア活動など多様な体験活動や、高齢者、障がいのある人、外国人等との交流の機会などの充実に努めます。
  5. 高等教育については、大学等の主体的判断により、法学教育など様々な分野において人権教育に関する取組に一層の配慮がなされるように促していきます。特に教育、医療、福祉に関わる分野において人権に関する講座が開設されるように促していきます。
  6. 幼稚園等の幼児に対しては、人権を大切にする心を育てるため、家庭や地域の実情に応じた適切な教育や保育が実施されるように促していきます。
  7. 子どもたち一人ひとりに応じたきめ細やかな指導が一層可能となるよう、教職員等配置の改善を進めていきます。

(3) 地域社会における人権教育・啓発

 地域社会には、家庭や学校とともに、お互いの人権を尊重する意識や他者に対する思いやりの心を育む役割があります。人権教育の原点が家庭、学校とともに地域社会にあることを再認識し、家庭と学校、地域社会が連携して、各種学習機会や情報の提供、生涯学習の振興のために行われる各種施策を通じて、人権に関する学習の一層の充実を図っていくことが必要です。
その際、人権に関する学習においては、単に人権問題を知識として学ぶだけではなく、日常生活において人権上問題のある出来事に接した際に、人権への配慮がその態度や行動に現れるような、人権感覚の高揚を図る必要があります。
 また、地域の実情に応じ、住民一人ひとりが自分自身の課題として人権尊重の理念について理解を深めるような啓発活動を実施することが必要です。
 このため、以下のような施策の推進を図ります。
  1. 社会教育の視点から公民館等の社会教育施設を中心として、地域の実情に応じた人権に関する多様な学習機会の充実に努めます。
    また、学校教育との連携を図りつつ、青少年の社会性や思いやりの心など豊かな人間性を育むための社会奉仕体験活動・自然体験活動などの多様な体験活動や高齢者、障がいのある人、外国人等との交流の機会の充実に努めます。
  2. 高齢者の学習機会の体系的整備をはじめとして、生涯にわたって、いつでも、どこでも自由に人権に関する意識を高める教育が受けられるような学習機会の整備、充実に努めます。
  3. 学習意欲を高めるような参加体験型の学習プログラムの活用を図るとともに、身近な課題を取り上げたり、様々な人とふれあう体験を通して自然に人権感覚が身に付くような活動に取り組んだり、学習意欲を高める手法を創意工夫するなど指導方法に関する研究に取り組みます。
    また、人権問題について正しい理解を深めるための学習資料の提供に努めます。
  4. 地域社会における啓発活動は、地域に密着したきめ細かい多様な事業が展開される必要があることから、法務局、県、市町村が連携を図り、また、NPO等の協力を得ながら、啓発イベントの開催、資料の作成・配布などを行うことにより、県民が人権尊重の重要性を認識するとともに、それが日常生活の中で態度面、行動面等において根付くよう効果的な事業の展開を図ります。
  5. PTAをはじめとする社会教育関係団体、民生委員・児童委員、消防団等の各種団体は、地域社会を基盤として活動を続けていることから、地域社会における人権教育・啓発を推進する上で重要であり、構成員等の連帯や団体相互の交流を通じて人権意識の高揚を図るよう支援します。
  6. 地域社会において人権教育・啓発を先頭に立って推進していく指導者の養成、及びその資質の向上を図り、地域社会における教育指導体制の充実、さらには、NPO等との協働に努めます。

(4) 企業等における人権教育・啓発

企業等では、男女間等の不公正な採用や賃金・昇進、職場におけるセクシュアル・ハラスメント※5やパワー・ハラスメント※6などの人権問題を解決することが重要な課題となっています。
また、今日では、企業等も社会を構成する一員であるとする「企業市民」という考えが定着し、その社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)が重要視され、企業等が提供する商品やサービスの安全性への十分な配慮など、職場の中で働く人々の人権への配慮のみならず、顧客・消費者、取引先等の人権や地域社会に配慮することも求められています。
このことから、企業等には、人権問題についての従業員研修の積極的な実施及び地域における人権啓発活動や各種イベント等への積極的な参加・協力など、人権意識のさらなる高揚のための取組が期待されています。
このため、以下のような施策の推進を図ります。
  1. 企業等が従業員を採用するに当たっては、採用方針・採用計画の決定-募集-選考-採否通知等の一連の過程において、一貫して人権が尊重され、公正に行われるようその普及・啓発に努めます。
  2. 企業等内で取り組まれる人権教育・啓発活動に対しては、資料や教材の提供、研修講師の派遣・斡旋を行うなど、その取組を支援します。
  3. 県等が啓発事業として開催する講演会等への積極的な参加を促進するため、企業等への講演会等の開催の情報提供に努めます。

(5) 特定職業従事者等に対する人権教育・啓発

 人権教育・啓発の推進に当たっては、以下に掲げるような人権と関わりの深い特定の職業への従事者に対する人権教育・啓発を強化し、その人権意識の高揚を特に図る必要があります。
 このため、それぞれの職業に応じた次のような施策の推進を図ります。

ア 公務員
 人権に配慮した行政を推進するためには、すべての公務員が、人権問題を正しく理解し、豊かな人権感覚を身に付けることにより、人権尊重の視点に立って職務を遂行することが求められています。
 このため、人権意識の高揚を図るための研修等の内容や手法を充実させるとともに、人権問題に関する研修会等への職員の参加に努めます。
イ 教職員等
 教職員等は、学校や幼稚園等における教育活動・保育活動を通じて、すべての幼児・児童・生徒・学生に豊かな人権意識を育むため、自らの人権意識の高揚に努めるとともに、人権教育の推進者として必要な知識・技術・態度を習得することが求められています。
 このため、人権教育に関する研修において、参加体験型の方法を取り入れるなど、研修内容の一層の充実を図り、教職員等自らの人権意識を高めるとともに、将来へのよりよい生き方につながる教育活動や保育活動の工夫改善に生かすことができる資料等の作成に努めます。
ウ 医療関係者
 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士、作業療法士、精神保健福祉士等の医療関係者は、医療現場における患者の人権の重要性を認識し、インフォームドコンセント※7の徹底や適切な患者の処遇など人権に配慮した行動がとれるよう人権意識の一層の高揚が求められています。
 このため、関係機関・団体に対し、これら関係者の人権意識の高揚を図るための研修等の充実を要請します。
エ 福祉関係者
 民生委員・児童委員、主任児童委員、身体障害者・知的障害者相談員、社会福祉施設職員、ホームヘルパー等の福祉関係者は、高齢者や障がいのある人をはじめ、様々な人々の生活相談や介護などに携わっており、その職務の遂行に当たっては、個人の人権尊重や秘密保持など人権に配慮した行動が求められています。
 このため、福祉関係者の資質向上を目的に行われている社会福祉研修センター事業等を通して、これら関係者の人権意識の高揚が図られるよう努めます。
オ 消防関係者
 消防関係者は、火災をはじめとする各種災害から住民の身体・生命・財産を守ることを職務としており、人権に対する正しい理解と認識をもつ必要があります。
 このため、県消防学校における人権意識の高揚を図るための研修等の充実を図るとともに、各市町村に対しても、その充実に努めるよう要請します。
カ 警察職員
 警察職員は、公共の安全と秩序の維持という責務を遂行するに当たり、個人の権利や自由と密接な関わりをもつことから、人権に対する正しい知識をもつ必要があります。
 このため、職務倫理教養を推進するとともに、被害者、被疑者、その他関係者等に対する人権に配慮した適切な対応についての教養・研修等の充実を図ります。
キ マスメディア関係者
 新聞、テレビ、ラジオなどのマスメディアは、社会の情報の大部分を提供しており、人々の価値判断や意識形成に大きな影響力を有するとともに、一方では、個人の名誉やプライバシーの侵害など人権侵害の危険性も有しています。
 このため、マスメディア関連の企業・団体に対して、正確な情報を県民に提供するという公共的使命を踏まえながら、人権尊重の視点に立った取材及び紙面や番組の編集を行うように、社員等関係者の研修等をより一層充実するための取組を要請します。
ク 相談員
 人権に関する相談業務に携わる人は、相談者の人権尊重や秘密の保持などはもちろん、二次被害を起こさないよう、相談者に接する際には十分な配慮を行う必要があります。
 このため、相談業務に携わる人に対して、人権に配慮した適切な対応が行われるように、教育・啓発の推進に努めます。
ケ その他
 自治会長、公民館長、地域のスポーツ少年団関係者など地域住民と関わりの深い人々への人権教育・啓発については、各市町村に対し、その推進に努めるよう要請します。
 また、議会関係者等についても、議会等において人権教育・啓発の取組が行われるように、情報の提供や講師の紹介等に努めます。
2 総合的かつ効果的な推進

 人権教育・啓発の総合的かつ効果的な推進を図るためには、単なる知識の伝授にとどまらず、日常生活における行動に結び付けるための技術や人権に配慮した態度を総合的に育んでいくことが重要となります。
 このため、以下のような施策の推進を図ります。

(1) 実施主体の強化及び周知度の向上

 人権教育・啓発を効果的に推進するため、県、市町村、民間団体等の人権教育・啓発の実施主体の体制の充実・強化を図るとともに、パンフレットの作成やホームページの開設、ソーシャルメディアの活用などの積極的な広報により、その活動の周知に努めます。
 また、人権尊重の取組を積極的・継続的に実践する個人・団体について、その取組を表彰・広報することなどにより、人権尊重思想の普及高揚を図ります。

(2) 人材の育成

 県民一人ひとりが人権問題を身近な問題としてとらえ、日常生活において人権を尊重する態度を身に付けていくためには、人権教育・啓発を日常生活の身近なところから推進していくことが重要となります。このため、日常生活の身近なところで人権教育・啓発を行うことのできる指導者の養成に努めるとともに、体系的な研修を企画できる、より専門的な指導者の養成に努めます。
 さらに、これらの指導者については、人権感覚を豊かにするため、日頃から自己研鑽に努めることが大切であることから、人権教育・啓発の指導者として主体的な取組を促すように努めます。

(3) 教材・資料等の整備・充実

 人権に関する教材や資料等は、効果的な人権教育・啓発を実施していく上で不可欠なものであり、その整備・充実に努めます。

  1. 人権教育・啓発の各実施主体等関係諸機関が保有する教材・資料等について、その有効かつ効率的な活用を図る観点から、各機関相互における利用を促進するための情報ネットワーク化や多くの人々がこうした情報にアクセスしやすい環境の整備・充実に努めます。
  2. 人権に関する情勢は時の経過とともに変遷するため、時代の流れを反映した文書等、新たな文献や資料等の収集・整備を図るとともに、従来必ずしも調査研究が十分でなかった分野等に関するものについても、積極的に収集に努めます。
  3. 人権教育・啓発で使用する教材・資料等について、対象者の知識や習熟度等を考慮し、基礎的なものから専門的なものまで体系的な教材・資料等を開発するとともに、その充実に努めます。

(4) 学習プログラムの開発

 人権に関する学習を促進するためには、様々な人権問題を総合的に取り上げるとともに、家庭・学校・職場・地域社会などの日常生活の中で発生する人権問題に焦点を当て、自分とのつながりが自覚できるように促す必要があります。また、学習者が主体的に参加することが重要であり、学習者相互の交流、意見の交換など様々な体験を通じて学び合うことができるようなプログラムの研究開発に努めます。

(5) 人権教育・啓発の内容及び手法の充実

  1. 人権教育・啓発の内容については、プライバシーなどの問題に留意しつつ、身近で具体的なものを題材に取り上げるなど、表現や内容を受け手にとって理解しやすいものにするとともに、単なる知識の伝授にとどまることなく、受け手の感性や理性に訴え、自己の問題として受け止めて実際の行動に結び付くような効果的なものとなるよう、その充実に努めます。
  2. 人権教育・啓発の手法については、これまで様々な人権問題の教育・啓発活動の中で蓄積された成果を踏まえるとともに、従来の講義形式に加えて、参加体験型研修(ワークショップ)など対象者や教育・研修レベルなどに応じた多様な手法の導入を図ります。
  3. 広く県民に対して自然な形で人権問題について興味をもってもらう手法も効果的であるため、県民参加体験型のイベントなどを創意工夫を凝らしながら積極的に推進していきます。

(6) 宮崎県人権啓発センターの充実等

 宮崎県人権啓発センターは、人権啓発活動を総合的に行う拠点としての役割を担っています。
 このため、県民運動の推進母体である宮崎県人権啓発推進協議会をはじめとする民間団体等との連携・協働を図り、資料ライブラリーの活用、人権啓発・研修のリーダーとなる人材の育成の講座や研修事業、研修講師・指導者に関する情報の収集・提供、人権教育・啓発に関する資料の作成など、同センターが実施している事業の充実と周知を図ります。

(7) マスメディア等の多様な広報媒体の活用

 人権教育・啓発の推進における広報媒体として、テレビ、ラジオ、新聞などのマスメディアはもとより、近年のインターネットの急速な普及によるホームページ等の果たす役割は、非常に大きなものとなっています。
 これらの様々な媒体の特性、啓発内容や主な対象等を踏まえた連携・補完、いわゆるメディアミックス※8やクロスメディア※9の手法の積極的な活用等により、効果的・効率的な取組を推進します。

(8) 民間団体のノウハウの活用

 民間団体の有する人権教育・啓発に関するノウハウの活用により、多角的な視点から、より効果的な手法を駆使した教育・啓発の実施が期待できることから、その積極的な活用に努めます。
 なお、民間団体の活用に当たっては、委託方式も取り入れ、より効果を高めていく努力をするとともに、教育・啓発の中立性に十分注意します。

(9) 人権問題に関する相談窓口の充実・連携

 人権問題に関する相談窓口としては、国(法務省)が常設及び特設の人権相談所を開設しているほか、各市町村に人権擁護委員を配置し、その対応に当たっています。また、県及びNPO等においても、宮崎県人権啓発センターをはじめ、女性、子ども等各人権問題に応じた相談窓口を設置しています。
 しかしながら、自分の人権が侵害されたと思っても、黙って我慢したり、家族や知人に相談したりする人が大半で、このような相談窓口を利用する人は少数にとどまっています。
 このため、県の相談窓口の充実を図るとともに、各相談窓口との連携を図ります。また、県及び市町村の広報誌やインターネットなどの様々な広報媒体を用いて、どこにどのような相談窓口があるのかなどの情報提供に努めます。

第4章 分野別施策の推進

 人権教育・啓発を推進し、一人ひとりの人権が尊重され、真に豊かでゆとりのある社会を育んでいくためには、今日特に重要となっている人権問題に対して、地域の実情に応じた効果的な施策を重点的に展開していく必要があります。
 このため、重要課題として、女性、子ども、高齢者、障がいのある人、同和問題、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者等、犯罪被害者等、インターネットによる人権侵害、性的少数者(性的マイノリティ)、刑を終えて出所した人、北朝鮮当局による拉致問題等及びその他の人権問題を取り上げ、積極的な推進を図ります。

1 女性

(1) 現状と課題

 国連では、従来から性に基づく差別の禁止を重要な課題として位置付け、積極的な取組を進めてきましたが、平成7年(1995年)開催の第4回世界女性会議において採択された「北京宣言」の中で、「女性の権利は人権である」とうたわれ、その「行動綱領」で具体的な行動が提案されました。
 我が国では、憲法で基本的人権として男女平等が保障され、その実現に向けて「勤労婦人福祉法」を抜本的に改正した「男女雇用機会均等法」が昭和61年(1986年)に施行され、また、平成11年(1999年)には、男女共同参画社会の形成の促進を総合的かつ計画的に推進することを目的とする「男女共同参画社会基本法」が制定され、翌年12月には、同法に基づいた初めての計画である「男女共同参画基本計画」が策定されました。また、近年社会問題になってきている女性に対する暴力に関しては、平成12年(2000年)に「ストーカー行為等の規制等に関する法律」が施行され、さらに、平成13年(2001年)に施行された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」では、平成25年(2013年)の改正により、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力及びその被害者についても、配偶者からの暴力及びその被害者に準じて、法の適用対象とされることになりました。
 本県においては、平成13年(2001年)に男女共同参画社会づくりの推進拠点となる宮崎県男女共同参画センターを開設し、情報提供、啓発、相談事業や民間団体等の支援などを行っています。また、平成14年(2002年)に「みやざき男女共同参画プラン」を策定するとともに、平成15年(2003年)に「宮崎県男女共同参画推進条例」を施行し、平成24年(2012年)には「第2次みやざき男女共同参画プラン(平成24年(2012年)度から平成28年(2016年)度)」を策定したほか、ドメスティック・バイオレンス(DV)の防止等に関して、平成18年(2006年)3月に「DV対策宮崎県基本計画」を策定し、その後、平成21年(2009年)、平成26年(2014年)にそれぞれ改定を行っています。
 しかしながら、平成22年(2010年)に実施した県の「男女共同参画社会づくりのための県民意識調査」では、男女の地位の平等感について、家庭生活、職場、慣習等の多くの分野で「男性優遇」という結果が出ており、社会全体としては「男女の地位は平等になっている」と感じる割合は2割にも届かず、依然として性別による固定的な役割分担意識が根強く存在しているなど、真の男女平等には至っていない状況にあります。
 一方、男女雇用機会均等法の施行等により、女性の働く環境の法律面での整備は改善されつつあるものの、賃金をはじめ配置や昇進などにおいて、事実上の男女格差が残っており、また、セクシュアル・ハラスメントなどの問題も発生しています。
 さらに、近年、ドメスティック・バイオレンスに関する相談が増加するとともに、社会生活において表面化しにくい性犯罪の実態もあることから、被害女性への相談・支援体制の充実が求められています。
 今後、少子・高齢化の進展など社会経済情勢の変化に対応し、豊かで活力ある社会を築いていくためには、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる「男女共同参画社会」の実現を目指した一層の取組とともに、女性のライフステージに対応した活躍支援を推進することが求められています。

(2) 施策の方向

 女性と男性が互いに人権を尊重しあい、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会づくりを進めるため、「第2次みやざき男女共同参画プラン」に基づき、以下のような施策の推進を図ります。
ア 男女共同参画の理解の促進
  1. 男女共同参画が必要であることをあらゆる人が共感し、理解することができるよう、男女共同参画の理念についてわかりやすい広報・啓発を推進します。(総合政策部、教育委員会)
  2. あらゆる世代の男女が、生涯にわたって男女共同参画の視点を学んだり、社会参画の意識を高めることができるよう、講座の開催や講師の情報提供などによる学習機会の充実を進めます。(総合政策部、農政水産部、教育委員会)
  3. 家庭、職場、地域などで男女共同参画社会の形成を阻害すると考えられる慣習・慣行の見直しについて、広く呼びかけを行っていきます。(総合政策部)
  4. 広報、出版物における表現が性別に基づく固定観念にとらわれず、男女共同参画に配慮したものとなるよう、広報・啓発に取り組みます。また、インターネットをはじめ様々なメディアからの男女共同参画を阻害する情報に対し、受け手側が主体的に判断できるよう、メディア・リテラシー※10の育成・向上を図ります。(全部局)
イ 社会における女性の活躍の場の拡大
  1. 多様な考え方を生かした豊かで住みよい社会を築いていくため、県や市町村における各種審議会委員への女性登用を拡大するとともに、民間企業や各種団体等に対しても女性の参画促進を呼びかけます。また、県においても、意欲と能力のある女性職員の育成・登用に努めます。(全部局)
  2. 社会の様々な分野における女性の参画や能力発揮を支援するため、就職・再就職や起業、キャリアアップ、社会貢献などの女性のチャレンジを総合的に支援します。(総合政策部、商工観光労働部)
  3. 社会における女性の活躍の場を拡大するため、指導的役割を果たす女性リーダーを育成するとともに、幅広い分野からの人材情報を収集・整備します。(総合政策部、農政水産部、教育委員会)
ウ 男女の平等な就業環境の整備
  1. 雇用の分野における実質的な男女の均等な機会と待遇を確保するため、男女雇用機会均等法の履行やポジティブ・アクション※11についての普及啓発及び企業の取組の促進を図ります。(総合政策部、商工観光労働部)
  2. 価値観やライフスタイル等に応じ、多様かつ柔軟な働き方を選択できるような労働環境の整備を進めるとともに、女性がライフサイクルの中で就業意欲と能力を十分に発揮することができるよう支援を行います。(福祉保健部、商工観光労働部)
  3. 女性の農林漁業経営や地域の方針決定過程への参画を促進するための啓発活動や研修等を実施するとともに、男女が対等な立場で働くための環境整備を推進します。(環境森林部、農政水産部)
エ 男女の仕事と生活の調和
  1. 仕事と育児、介護等家庭の両立に関する意識啓発を進めるとともに、仕事と家庭生活を両立できるよう、育児・介護休業制度を取得しやすい条件整備や労働時間等を含む働き方の見直しなど、就業者が働き続けやすい環境の整備を進めます。(福祉保健部、商工観光労働部)
  2. 家庭や地域生活における様々な活動に男女が協力して取り組むことができるよう、これまで参画の少なかった男性の家庭・地域生活への積極的な参画の促進を図ります。(総合政策部、教育委員会)
  3. 多様な需要に対応した保育サービス等の充実、子育ての孤立感や不安の解消を図るための相談・支援体制の充実に努めます。(福祉保健部、病院局、教育委員会)
オ 地域における男女共同参画の推進
  1. 男女共同参画が地域に暮らす人々にとって身近なものとなるよう、市町村における男女共同参画の推進体制を整備するとともに、地域で男女共同参画の活動を行う人材への支援を行います。(総合政策部、教育委員会)
  2. 地域づくり、観光、環境の分野において、女性の視点や能力を十分反映することができるよう、人材育成やネットワークづくりの支援を促進します。(総合政策部、環境森林部、商工観光労働部)
  3. 東日本大震災などの大規模災害の発生時における、避難所運営や生活用品等の備蓄などについては、女性に対する配慮が十分でなかったことから、様々な問題が生じています。これらの状況も踏まえ、災害時の被災者支援における男女のニーズの違いなど、男女双方の視点からの配慮がなされるよう、男女共同参画の視点を取り入れた対策を進めます。また、地域防災活動への女性の参画を促進します。(総務部)
カ 女性に対するあらゆる暴力の根絶
  1. DV、性犯罪、売買春、人身取引、ストーカー行為※12、セクシュアル・ハラスメント等の女性に対する暴力は決して許されないものであるとの社会的認識を醸成するための広報・啓発活動を推進します。(総合政策部、警察本部)
  2. DVを許さない社会的気運の醸成を図るとともに、相談体制の充実や関係機関との連携強化を図り、被害者の保護・自立支援に向けた総合的な対策を推進します。(総合政策部、福祉保健部、県土整備部、教育委員会、警察本部)
  3. 職場などにおいてセクシュアル・ハラスメント防止に向けた取組が進むよう啓発に努めるとともに、性犯罪の未然防止のための広報・啓発及び取締りの強化・被害者の保護対策を推進します。(総務部、商工観光労働部、教育委員会、警察本部)
キ 生涯を通じた女性の健康支援
 「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)※13」に関する意識の重要性について、広く社会に浸透させ、男女がともに正確な知識をもって、自ら健康管理を行うことができるようにするための施策を推進します。また、妊娠・出産期は、女性にとっての大きな節目であり、健康上、不安定な時期になることから、安心して子どもを産むことができるように支援するとともに、不妊に悩む夫婦への支援も行います。(福祉保健部、教育委員会)
2 子ども

(1) 現状と課題

 国連では、平成元年(1989年)に「児童の権利に関する条約」を採択し、我が国も平成6年(1994年)に批准しています。この条約では、「児童に関するすべての措置をとるに当たり、児童の最善の利益が主として考慮されること」や、「条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な措置を講ずること」等が定められています。
 また、児童福祉法第1条第2項において、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」、また、同法第2条において「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と規定されています。
 本県においては、こうした理念に基づき、「宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例」(昭和52年(1977年)制定)の適正な運用などにより、子どもが健やかに成長できるような環境づくりを推進しています。
 しかし、我が国が急速な経済発展を遂げ、物質的に豊かになり、生活の利便性が向上する一方で、生活体験や自然とふれあう機会が減少したことにより、子どもたちに生命や自然を大切にする心、我慢する心や物を大切にする心が育ちにくくなっています。
 さらに、少子化、核家族化の進行や、都市化の進展などに伴う地域の人間関係の希薄化により、子育て中の家庭が孤立しがちになっています。このため、子育てについての不安や悩みなど精神的負担が増大するとともに、過保護や過干渉、放任という状況も表れており、子どもに対して、規範意識、社会性、共生の心を育てにくい環境となっています。
 その上、露骨な性描写、暴力・残虐シーンなどの有害情報の氾濫、覚せい剤等薬物乱用、出会い系サイト等を通じて犯罪に巻き込まれるなど憂慮すべき社会状況も見られます。  近年においては、少年による凶悪犯罪が発生しており、一方で、実親等による子どもに対する虐待が深刻になっています。また、犯罪による被害を受ける少年の数が増加するなど憂慮すべき状況にあります。さらに、学校ではいじめや不登校、非行等問題行動が依然として深刻な状況にあります。加えて、家庭が貧困であるために、子どもの日常生活や教育等に影響が及ぶ「子どもの貧困」の問題に対する意識が高まりつつあります。
 我が国では、平成11年(1999年)に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を制定、また、平成12年(2000年)に施行された「児童虐待の防止等に関する法律」を平成19年(2007年)に改正するなどの対応を行っています。また、平成15年(2003年)に「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」、平成21年(2009年)に「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」、平成22年(2010年)に「子ども・若者育成支援推進法」、平成25年(2013年)に「いじめ防止対策推進法」、平成26年(2014年)に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行されたほか、平成24年(2012年)の「子ども・子育て支援法」をはじめとする子ども・子育て関連3法の成立など、法的整備も進んでいます。
 県では、平成17年(2005年)に地域における子育て支援の推進などの対策を盛り込んだ「次世代育成支援宮崎県行動計画」を策定し、各種施策の推進に取り組んできました。平成22年(2010年)には、「ひむか青少年プラン21」に基づき推進してきた青少年の健全育成関連施策を一体的に盛り込んだ新たな「次世代育成支援宮崎県行動計画」を策定し、子どもから青少年に至るまでのライフステージに沿って、切れ目のない支援を行っています。なお、「次世代育成支援宮崎県行動計画」については、平成27年(2015年)度から「子ども・子育て支援法」に基づき新たに策定することとなった新計画と一体的に整備することとしております。
 また、平成26年(2014年)には、いじめの問題を克服し、児童生徒の尊厳を保持するため「宮崎県いじめ防止基本方針」を策定しました。
 このような子どもを取り巻く状況の中で、今後、健やかに子どもを育てるためには、家庭、学校、地域社会が互いに連携を図りながら、それぞれの教育力を高め、その力を十分に発揮するとともに、子どもの人権の尊重及び保護に向けた取組を積極的に推進していくことが求められています。

(2) 施策の方向

 県民一人ひとりの人権意識の高揚を図るためには、特に子どもの時期の対応が重要であり、子どもの人権意識や思いやりの心を育成するための教育・啓発を、就学前、小・中・高校を通じ一貫した学校教育等の中で実施するとともに、家庭や地域においても一体となって推進されるようにするため、以下のような施策の推進を図ります。
ア 子どもの人権を尊重する啓発活動
 子どもの健全な成長・発達のためには、子どもを保護の対象としてだけではなく権利の主体として位置付け、子どもにとって最善の利益を保障する観点から捉えるなど、「児童の権利に関する条約」の理念の具現化に努めることが重要です。
 学校においては、生命や人権を尊重する心、正義感や公正さを重んじる心をもった子どもを育成するとともに、自己に対する自尊感情を高めた上で、他者の個性を理解し、違いを受け入れる能力を育成するなど共に生きる社会の実現を目指すように努めます。
家庭においては、思いやりの心、感謝の心をもった子どもが育成されるよう、また、家族が支え合い、互いに尊重されるべきであるとの観点に立って、安定した人間関係の下、親権が正しく行使され、子どもの権利が認められるよう啓発に努めます。(福祉保健部、教育委員会)
イ 子どものいじめ防止対策
 いじめは、児童生徒の人権に関わる重要な問題であるとともに、どの子どもにもどの学校にも起こりうる問題であるということを踏まえ、いじめは人間として絶対に許されないとの認識のもとに、未然防止の観点から、学校の教育活動全体を通じ道徳教育や特別活動、体験活動等の充実に努めます。また、早期発見や早期解決を図るため、相談体制の整備・充実や教職員研修の充実、家庭や地域社会等への啓発に努めるとともに、開かれた学校の視点に立った、学校、家庭、地域社会及び関係機関等との連携を強化します。
 また、「宮崎県いじめ防止基本方針」に基づき、児童生徒の尊厳を保持するため、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進します。(総合政策部、福祉保健部、教育委員会)
ウ 子どもの健全育成の推進
 子どもの健全育成のための環境整備に、家庭、学校、地域社会、関係機関・団体等が連携して取り組みます。特に、子どもに有害な情報や環境については、健やかに育成される権利を侵害するものとして、除去・防止のための取組に努めます。
 また、ボランティア活動などの地域社会への参加、奉仕活動等や自然とのふれあい活動等を通して、体験と出会いの中で、思いやりや人権尊重の精神の涵養、社会の一員としての自覚を促すことにより、心豊かな子どもの育成に努めます。(福祉保健部、教育委員会)
エ 児童虐待防止・相談体制の充実
 いろいろな悩みをもつ子育て中の家庭や子どもからの多様な相談に対応するため、宮崎県子ども・若者総合相談センター「わかば」をはじめ、児童相談所等の相談機関や各種の電話相談、民生委員・児童委員、主任児童委員やスクールカウンセラー等各種相談体制及びその機能の充実に努めます。
 また、子どもの人権を著しく侵害する児童虐待を許さない社会づくりを進め、発生予防から早期発見・早期対応の徹底のため、関係機関や地域と一体となって取り組むとともに、地域全体で児童虐待防止が図れるよう、関係機関の連携強化に努めます。さらに、家庭や地域社会等に対して、発生防止の啓発に努めます。(福祉保健部、教育委員会)
オ 幼児期における人権感覚の育成
 幼児期は、生涯にわたる人間形成の基礎が培われ、また周囲の環境から受ける影響が大きい時期であり、この時期に相手を思いやる心や豊かな人権感覚を身に付けることが大切です。
 このため、幼稚園等において、一人ひとりの生活環境を十分把握しつつ、子どもの発達段階や個性に応じた適切な指導を行うとともに、家庭や地域とが連携を図り、思いやりのある心の育成に努めます。(総合政策部、福祉保健部、教育委員会)
3 高齢者

(1) 現状と課題

 我が国では、平均寿命の伸びや少子化の進行等に伴い高齢化が急速に進んでおり、平成25年(2013年)では総人口に占める65歳以上の割合である高齢化率が25.1%となっています。
 また、本県では、全国より数年早く高齢化が進んでおり、平成25年(2013年)10月1日現在、高齢化率が27.6%となっている状況にあり、平成32年(2020年)には3人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると予測されています。
 このため、国においては、平成7年(1995年)に「高齢社会対策基本法」を制定するとともに、平成8年(1996年)に「高齢社会対策大綱」を定め、各種の対策を進めてきました。また、平成12年(2000年)から介護保険制度の普及・活用が進む中、高齢者に対する身体的・心理的虐待、介護や世話の放棄・放任等が、家庭や介護施設等で表面化し、社会的な問題となってきたことを受け、平成18年(2006年)に「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が施行されました。そして、平成24年(2012年)には、より一層の対策を推進するため新しい「高齢社会対策大綱」を閣議決定し、「高齢者」の捉え方の意識改革、老後の安心を確保するための社会保障制度の確立、高齢者の意欲と能力の活用、地域力の強化と安定的な地域社会の実現、安全・安心な生活環境の実現、若年期からの「人生90年時代」への備えと世代循環の実現の6つの基本的考え方にのっとり、高齢社会対策を推進することとしています。
 本県では、平成24年(2012年)に策定した「第六次宮崎県高齢者保健福祉計画・第五期宮崎県介護保険事業支援計画」に基づき、高齢者の自立した生活を支援するための基盤整備などの施策を積極的に推進しています。
 しかしながら、高齢者に対する身体的・精神的な虐待や判断能力の不十分な高齢者に対する詐欺商法や振り込め詐欺等による財産侵害をはじめとする人権侵害が社会問題となっています。
 こうした状況を踏まえ、高齢者が住み慣れた地域や家庭で人間としての尊厳を保ちながら、安心して生活できるよう、高齢者個人の状況や多様なニーズに対応した保健・福祉サービスの提供をはじめ、社会参加の促進や相談体制の強化など、地域社会全体で高齢者の人権に配慮し、高齢者やその家族を支援していく体制づくりや高齢者の権利を擁護する仕組みの普及・充実が重要な課題となっています。
 そして、県民すべてが健康で生きがいをもって過ごすことのできる地域社会を築くためにも、高齢者に対する尊敬や感謝の心を育て、ともに高齢社会を支え合う県民意識の醸成を図っていく必要があります。

(2) 施策の方向

 高齢者の人権に配慮し、高齢者が安心して自立した生活を送れるよう支援するとともに、高齢者がそれぞれの知識と経験を生かし、社会を支える重要な一員として各種の社会的な活動に積極的に参加できるようにするため、以下のような施策の推進を図ります。
ア 福祉教育、啓発・広報活動の推進
  1. 学校教育においては、高齢化の進行を踏まえ、主に社会科や家庭科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間に、福祉に関する教育としての高齢者の人権に関する教育を推進します。(福祉保健部、教育委員会)
  2. 「老人の日・老人週間(9月15日~21日)」における行事を通じ、高齢者福祉についての県民の関心と理解の促進が図られるよう努めるとともに、高齢者の社会参加に対する理解と関心を深めるため、9月の「シニアパワー宮崎づくり月間」を中心に、啓発・広報活動を推進します。(福祉保健部)
イ 権利擁護の推進・相談体制の充実
 高齢者が尊厳を保ちながら、安心して生活できるよう、医療や介護、福祉、人権擁護など幅広い分野との連携や関係職員等の資質向上を図り、高齢者虐待防止や相談等の対応に当たる市町村や地域包括支援センターの取組の支援、相談体制の整備・充実、成年後見制度の普及等に努めます。(福祉保健部)
ウ 社会参加の促進
 高齢者によるNPO等の立ち上げやNPO活動等への参加の促進、高齢者の学習機会の体系的な整備、学習機会に関する情報の提供やスポーツ・文化イベント等への支援等を行い、社会参加活動を促進します。(福祉保健部、教育委員会)
エ 就業の確保
  1. 高齢化が急速に進行している農山漁村において、高齢者が従事しやすい農林水産業の環境づくりを進めます。(環境森林部、農政水産部)
  2. 生涯現役社会の実現に向けて、シルバー人材センター等の支援を行うとともに、企業に対して定年の引き上げ、継続雇用の推進、定年制の廃止等の普及啓発に努めます。(商工観光労働部)
オ 安心できる暮らしの確保
  1. 高齢者に対する交通安全教育の実施や高齢者に配慮した交通環境の整備等により交通安全対策を進めます。(総合政策部、警察本部)
  2. 悪徳商法や振り込め詐欺などの被害を防止するため、関係機関が連携して、啓発を行うと共に消費生活相談体制の充実等を進めます。(総合政策部、警察本部)
  3. 地域住民やNPO、ボランティア等の住民参加による高齢者を地域で支える活動を支援すると共に、地域包括支援センター等の関係機関のネットワークの強化、連携を支援し、高齢者を地域で支える体制づくりを推進します。(福祉保健部)
  4. 高齢者に配慮した住宅や様々な人が利用する施設において施設のバリアフリー化を推進し、「思いやりのある心づくり」の啓発を進めます。(福祉保健部)
カ 介護サービスの基盤整備・質的向上
  1. 高齢者が介護を要する状態になっても、できる限り住み慣れた地域や家庭で自立した生活が継続できるよう、居宅サービスや市町村が実施する地域密着型サービスの充実のための支援を行うとともに、在宅介護の困難な重度の要介護者の入所施設の整備に計画的に取り組みます。(福祉保健部)
  2. 介護サービスに関わる人材の養成や資質向上のための研修体制の整備を図るとともに、介護サービスに関する情報提供や関係機関との連携による円滑な苦情処理が行われるように努めます。(福祉保健部)
キ 介護予防・認知症高齢者支援策等の充実
  1. 「いきいきはつらつ介護予防プログラム」を市町村と連携しながら、普及・定着に努めます。(福祉保健部)
  2. 市町村や医療保険者が行う健康教育や健康相談、保健指導等の生活習慣病予防に向けた取組を支援します。(福祉保健部)
  3. 認知症の早期発見の重要性を啓発するとともに、関係者と連携し、保健医療関係者等に対する認知症に関する研修を実施し、認知症の早期発見等を促進します。(福祉保健部)
4 障がいのある人

(1) 現状と課題

 国連では、従来から障がいのある人の人権問題に取り組んでおり、昭和56年(1981年)を「国際障害者年」と定め、昭和57年(1982年)には第37回国連総会で「障害者に関する世界行動計画」を採択し、さらに平成18年(2006年)には「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)を採択し、我が国も平成26年(2014年)1月に批准しました。
 我が国では、障がいのある人の自立と社会参加を促進するため、平成5年(1993年)に「心身障害者対策基本法」を「障害者基本法」に改正し、取組を進めるとともに、その後、平成12年(2000年)の「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)の制定、平成14年(2002年)の障がい者の資格・免許取得に関して、各種法令の欠格条項を見直す改正法の施行、平成17年(2005年)の「発達障害者支援法」の施行、平成18年(2006年)の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)、「障害者自立支援法」の施行や、「障害者基本法」をはじめ関係法令の改正が行われるなど制度の充実が進められています。また、「障害者基本計画」等に基づく各種施策も実施されてきました。
 特に、最近は、「障害者の権利に関する条約」の批准に向け、関係法令が整備され、平成23年(2011年)に「障害者基本法」が改正され、また「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)が制定されました。さらに平成25年(2013年)には、「障害者自立支援法」を改正した「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法)や「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」(障害者優先調達推進法)、「改正障害者雇用促進法」が施行され、また、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が制定(平成28年(2016年)4月1日施行)されました。
 本県では、国際障害者年を契機に様々な取組を進めておりましたが、平成12年(2000年)に「人にやさしい福祉のまちづくり条例」を制定し、以後障害者基本法に基づく障がい者計画において、ノーマライゼーション※14の理念の下に各種施策を推進するとともに、条例の理念である「すべての人々が一人の人間として尊重され、住み慣れた地域で安心して快適に生活を営むとともに、自らの意思で行動し、参加することができる社会」を実現するために、「思いやりのある心づくり」や「バリアフリー※15の施設づくり」を施策の柱に、各種事業に取り組んでいます。
 しかしながら、平成25年(2013年)に県が実施した「障がい者アンケート調査」では、障がいがあることで不当な扱いを受けたり、いやな思いをしたことがあるとの回答が30.4%あり、県民の障がい者への理解と認識についての質問では、半数以上の人が「以前よりは深まったがまだ不十分」及び「深まっていない」と回答しています。障がい者の就労に必要な環境・条件整備としては、「事業主の理解」、「職場仲間の理解」を半数近くの人が選択し、特に発達障がい者では6割を超える人が選択しています。障がいを理由とする差別の解消や県民への理解の促進のため、今後も啓発・広報等の取組が必要となっています。
 また、障がい者の養護者や障がい者福祉施設従事者等による虐待、就労の場での障がいを理由とした使用者からの不当な扱いなどの虐待が確認されており、虐待の防止、早期発見、虐待を受けた障がい者に対する保護や自立の支援と併せて、虐待をした養護者に対する支援を行うなど、障がい者への権利擁護の取組が必要となっています。
 さらに、平成20年(2008年)策定の「宮崎県ユニバーサルデザイン推進指針」に基づき、対象者を問わず、すべての人が利用しやすい環境づくりを目指すユニバーサルデザイン(UD)※16の普及啓発を推進していますが、平成32年(2020年)の東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に、国内外から多くの方に来県していただくためにも、障がいの有無に関わらず安心、快適に過ごせる環境を整えることが一層重要となっています。

(2) 施策の方向

 「障害者差別解消法」に基づき、社会的障壁を除去していくために必要な合理的配慮※17を行っていくとともに、「障がいのあるなしによって分け隔てられることなく、地域でともに生きる社会づくり」を基本目標とする新たな「宮崎県障がい者計画」(平成26年(2014年)策定)に基づき、障がいのある人が、基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重され、施策の客体ではなく、必要な支援を受けながら、自らの決定に基づき、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する主体として捉え、以下のような施策の推進を図ります。
ア 啓発・広報活動の推進
  1. 「障がい者週間(12月3日~9日)」、「精神保健福祉普及週間(10月下旬から11月上旬の1週間)」、及び「人にやさしい福祉のまちづくり推進月間(毎年12月)」における啓発活動や、県障がい者スポーツ大会、芸術・文化祭など、ボランティア団体、障がい者団体などの幅広い層の協力を得ながら、障がい者との交流を通じて、障がいを理由とする差別の解消を含めた県民の理解を深める各種イベント等を実施します。(福祉保健部)
  2. 発達障がい者に対する理解の促進については、「世界自閉症啓発デー(毎年4月2日)」及び「発達障害啓発週間(4月2日~4月8日)」にあわせて、県として取り組むだけではなく、市町村や民間事業者等へも啓発活動を実施するよう働きかけを行います。(福祉保健部)
  3. 障がいのある人に対する理解を深め、思いやりの心を育むとともに、ボランティア等の福祉活動への参加を促進するため、学校教育において交流及び共同学習の取組を積極的に推進するとともに、教育関係者への研修を行います。(教育委員会)
イ 差別の解消及び権利擁護の推進
  1. 障がい者及びその家族等からの障がいを理由とする差別に関する相談に的確に応じるとともに、障がいを理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図ります。(福祉保健部)
  2. 宮崎県障がい者権利擁護センターにおいて、市町村障害者虐待防止センターや宮崎労働局等関係機関と連携を図りながら、障がい者の虐待防止や権利擁護に取り組みます。(福祉保健部)
  3. 障がい者の権利擁護について、広く県民に広報・啓発活動を行うとともに、市町村の相談窓口職員や障がい者福祉施設等の職員に対して、障がい者虐待防止・権利擁護研修を実施します。(福祉保健部)
  4. 日常生活自立支援事業、いわゆる「あんしんサポートセンター」や成年後見制度の周知に努めるとともに、市町村における利用促進のための支援等を推進します。(福祉保健部)
ウ 在宅サービスの充実
 地域で生活する障がい者が、障がいの特性や生活実態等に応じて各種サービスが利用できるよう、居宅介護などの訪問系サービスやショートステイ(短期入所)などのサービス提供体制の整備とサービスの質的・量的充実を図るとともに、市町村や関係機関等と連携しながら、地域間のサービスの平準化を図ります。(福祉保健部)
エ 教育環境の整備・社会参加の促進
 インクルーシブ教育システム※18(障がい者を包容する教育制度)の構築を図るとともに、障がい者が社会の構成員として地域で生活でき、その生活の質的向上が図られるよう、自立訓練、コミュニケーション手段の確保等、社会参加促進のためのサービスの充実を図ります。(福祉保健部、教育委員会)
オ スポーツ、芸術文化活動の振興
  1. 県障がい者スポーツ大会の開催及び全国障害者スポーツ大会への選手派遣や各種スポーツ大会・教室の計画的な開催等を通じて、障がい者スポーツの普及・定着を図ります。(福祉保健部)
  2. 障がい者の芸術文化活動への意欲の向上と県民への障がいに対する理解を深めるために、市町村や障がい者団体等と連携しながら、障がい者のニーズに応じた芸術文化活動の成果を発表する機会と展示する場の一層の充実を図ります。(福祉保健部)
カ 精神保健対策の推進
  1. 精神障がい者の人権に配慮した適正かつ良質な医療を確保するため、精神医療審査会の審査と精神科病院への実地指導との効果的な連携を図り、人権に配慮した適正な精神科医療の充実に努めます。(福祉保健部)
  2. 相談支援専門員等の相談支援に携わる人材の確保や障害福祉サービスの充実を図り、精神障がい者に対する周囲の人々の理解について、これまで以上の促進を図ります。(福祉保健部)
キ 雇用・就業への支援
  1. 障がいのある人がそれぞれの適性と能力に応じた職業に就くことを通じて社会参加を促進することにより、安定した生活基盤づくりを図るため、毎年9月の「障がい者雇用支援月間」における行事や、テレビ、ラジオなどの媒体を活用して、広く一般県民に対する啓発活動などを行います。(福祉保健部)
  2. 障がい者雇用に関する理解を深め、雇用促進・職場定着を図るため、企業の事業主等を対象としたセミナー開催など、普及啓発を実施します。(福祉保健部)
  3. 一般就労することが困難な障がい者に対し、就労継続支援事業や地域生活支援センター等を通して、就労の機会や生産活動の機会の提供を行うとともに、その内容の充実を図ります。(福祉保健部)
ク 人にやさしい福祉のまちづくりの推進
  1. 「人にやさしい福祉のまちづくり条例」に基づき、障がい者が基本的人権を享有するかけがえのない個人として、身近な地域でともに生活できるよう、障がいを理由とする差別の解消を含めた県民の理解、認識及び関心を深め、誰もが障がい者等に自然に手助けすることのできる「思いやりのある心づくり」を推進します。(福祉保健部)
  2. 「人にやさしい福祉のまちづくり条例」及び「バリアフリー法」の普及啓発を進めるとともに、条例の基準に適合する施設等の整備促進を図ります。(福祉保健部、県土整備部)
ケ ボランティア活動の推進
 県ボランティアセンターにおいて、「地域の絆」を育む福祉教育を推進するとともに、学校や市町村社会福祉協議会、民生委員・児童委員等との連携を促進するため、福祉教育推進研修会等を行います。
 また、生活支援を必要とする障がい者等の視点に立った住民主体のボランティア活動の推進を図ります。(総合政策部、福祉保健部)
5 同和問題

(1) 現状と課題

 同和問題とは、歴史的過程で形づくられた身分差別に基づく、日本固有の人権問題であり、憲法が保障する基本的人権の侵害にかかる重大な社会問題です。
 我が国では、同和問題の早期解決を図るため、昭和40年(1965年)の同和対策審議会の答申を受けて、昭和44年(1969年)に「同和対策事業特別措置法」(昭和44年7月~昭和57年3月)を制定し、その後、「地域改善対策特別措置法」(昭和57年4月~昭和62年3月)及び「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(以下「地対財特法」という。)(昭和62年4月~平成14年3月)を制定し、数々の施策を推進してきました。  このような状況の中、平成8年(1996年)5月に地域改善対策協議会意見具申が出されました。この具申では、これまでの特別対策により生活環境の改善をはじめとする物的面での較差は大きく改善されましたが、「今後の主要な課題は、依然として存在している差別意識の解消、人権侵害による被害の救済等の対応、教育、就労、産業等の面でなお存在している較差の是正、差別意識を生む新たな要因を克服するための施策の適正化である」とし、また、「今後、差別意識の解消を図るに当たっては、これまでの同和教育や啓発活動の中で積み上げられてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべき」と提言されました。
 これを受けて、平成9年(1997年)3月、地対財特法はその対象とする事業を絞り込み、さらに5年間の延長で平成14年(2002年)3月31日までに事業を完了させることとなり、特別対策は終了、その後は一般施策の中で対応することとなりました。
 本県においては、同和問題の早期解決に向けて同和対策事業を推進し、その結果、生活環境などの物質面においては相当程度に改善が進みました。また、教育については、昭和52年(1977年)に「宮崎県同和教育基本方針」を策定し(昭和62年(1987年)改定)、教育基本法の理念のもとに、すべての学校及び地域社会において、人間の尊厳、人権の尊重を基調とする教育活動を積極的に展開してきました。平成17年(2005年)には、「宮崎県同和教育基本方針」を「宮崎県人権教育基本方針」に改定し、これまでの同和教育の成果や課題等を踏まえ、同和問題をはじめとする様々な人権問題の理解を深め、人権尊重社会の実現を目指した人権教育を推進しています。
 さらに、啓発については、本県における人権啓発活動の総合的な拠点としての機能を担う宮崎県人権啓発センターや、県内の様々な機関、団体及び企業で組織する宮崎県人権啓発推進協議会が中心となって、研修会の開催、資料の作成・配布などの様々な啓発活動を積極的に展開するなど同和問題の早期解決に向けた人権意識の高揚に努めています。
 しかしながら、いまだに結婚や就職等の面において差別事象が発生するなど、差別意識の解消という点では今なお課題を残しています。また、近年においては、インターネットで同和地区の所在地や同和問題に関する差別的な書き込みが行われたり、身元調査のための戸籍謄本等の不正取得事件等も発生しています。さらに、同和問題に対する県民の理解を妨げる「えせ同和行為」も依然として後を絶たない状況です。同和問題に対する県民の正しい理解と認識が得られるよう啓発活動を一層進める必要があります。
 今後、これまでの取組の経緯と成果を踏まえ、差別意識の解消に向けたより積極的な教育・啓発活動が求められています。

(2) 施策の方向

 同和問題は重大な人権問題であり、その早期解決を図っていくため、地域改善対策協議会意見具申を尊重し、これまでの経緯と成果を踏まえながら、以下のような施策の推進を図ります。
ア 啓発・教育の推進
  1. 県民一人ひとりが同和問題についての正しい理解と認識を深め、自らの課題としてその心理的差別の早期解決に主体的かつ積極的に取り組むことを基本とし、市町村や関係機関等とも連携しながら、総合的な県民啓発を推進します。(総合政策部)
  2. 学校教育及び社会教育における人権教育を推進し、同和問題をはじめとする様々な人権問題についての正しい理解を深め、人権を相互に尊重し合い、共に生きる社会の実現を目指します。また、そのための意志と実践力をもった指導者の養成や研修の充実に努めます。(教育委員会)
  3. 宮崎県人権啓発センターにおいて啓発指導者の育成、企業・団体等が実施する研修会への講師の派遣、啓発研修教材の研究・作成を行うほか、宮崎県人権啓発推進協議会を中心として、「人権啓発強調月間(8月)」や「人権週間(12月4日~10日)」における集中的な啓発活動等を展開します。(総合政策部)
イ 公正な採用選考の推進
 差別のない明るい職場づくりのため、公正採用選考の徹底が図られるよう、労働局等と連携しながら周知・啓発に努めます。(商工観光労働部)
ウ えせ同和行為の根絶
 えせ同和行為は、これまで積み重ねてきた同和問題についての啓発効果を一挙に覆し、ひいては同和問題に対する誤った意識を県民に植え付けるなど、同和問題の解決を妨げる大きな要因となっているため、関係機関等との連携を図りながら、えせ同和行為の排除を一層強化します。(総合政策部)
6 外国人

(1) 現状と課題

 国連は、昭和23年(1948年)に「世界人権宣言」を採択したほか、昭和40年(1965年)に「人種差別撤廃条約」、昭和41年(1966年)に「国際人権規約」など の国際条約を採択し、我が国でもこれらの条約に加入または批准しています。
 我が国では、国際化の進展に伴い、全国的に、在留する外国人が増加し、その国籍や言語も多様化する傾向にあります。
 このため、言語や習慣、文化の違いにより相互理解が十分でないなどの理由で様々な問題が発生しています。近時、特定の国籍、民族の外国人を排斥する趣旨の言動が大きな問題となっており、こうした行為は人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、差別意識を生じさせることにもつながりかねないもので、あらゆる差別を許さない意識を醸成していくために、一層の相互理解の機会や教育啓発活動に取り組んでいく必要があります。
 本県では、平成13年(2001年)には「宮崎県国際化推進基本指針」を、平成17年(2005年)には、この方針の改訂版である「宮崎県国際化推進プラン」を策定し、平成23年(2011年)には、新たな「みやざき国際化推進プラン」を策定しました。
 今後も、このプランを基本として、外国人の人権を擁護するために、児童・生徒・学生に対する人権教育の充実や県民に対する啓発活動を行い、外国人も安心して生活できる環境づくりを推進することが求められています。
 また、平成32年(2020年)の東京オリンピック・パラリンピック開催を機に、多くの外国人に来県していただくためにも、国籍や民族などの違いに関わらず安心、快適に過ごせる環境を整えることが一層重要となっています。

(2) 施策の方向

 国際化の進展に伴い、外国との交流が増大している中、外国人の人権に配慮し行動ができるよう、「みやざき国際化推進プラン」に基づき、以下のような施策の推進を図ります。
ア 国際感覚豊かな人づくりの推進
 県民の国際化に対する意識や関心を高め、国際理解の醸成を図るほか、県民主体の国際交流・協力活動を促進します。また、将来を担う子どもたちへの国際理解教育、外国語教育等を充実させることなどにより、国際感覚豊かな人づくりを進めます。(総合政策部、総務部、教育委員会)
イ 多文化共生社会づくりの推進
 外国人住民に対するコミュニケーションや生活支援、外国人住民との交流の機会、ユニバーサルデザインの推進など、国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくような多文化共生社会づくりを進めます。(総合政策部、福祉保健部、県土整備部、警察本部)
ウ 多様で身近な国際交流・国際協力の推進
 アジアをはじめとした地域との相互交流や、留学生をはじめとした外国人住民との身近な国際交流を進めるとともに、関係団体と連携した国際協力を進めます。(総合政策部、農政水産部、教育委員会)
7 HIV感染者・ハンセン病患者等

(1) 現状と課題

ア HIV感染者等
 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)によって引き起こされる後天性免疫不全症候群のことをエイズと呼んでおり、HIV感染者とは、HIVの感染が確認されているが、エイズを発症していない状態の人をいいます。
 HIVは、含まれる体液が血液、精液、膣分泌液、母乳に限られており、感染の主な経路は、性的接触、輸血や注射器による血液感染、母子感染です。性行為以外の日常的接触では感染しないことがわかっており、空気感染やだ液などの飛沫感染、虫や動物からも感染しません。
 世界のHIV感染者及びエイズ患者(以下、「HIV感染者等」という。)は約3,530万人(参考:UNAIDS『2013年版報告書』)、我が国でもHIV感染者・エイズ患者数は増加しており、平成25年(2013年)の新規感染者・患者の報告数は1,590人に上っています(参考:厚生労働省「平成25(2013)年エイズ発生動向」)。  これらの多くの人々は、偏見や差別により生活上の課題(医療、就労等)を抱えています。
 世界保健機構(WHO)は、昭和63年(1988年)に、エイズの蔓延防止と患者・感染者への偏見と差別の解消を図るため、毎年12月1日を「世界エイズデー」と定めました。また、平成8年(1996年)に開催された第2回HIV及びエイズと人権に関する国際専門家会議において、「HIV及びエイズと人権に関するガイドライン」が採択され、HIV感染者等の人権保障において各国のとるべき措置が規定されました。
 我が国においては、平成元年(1989年)に、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」を定め、エイズの予防に必要な施策を講じてきましたが、平成11年(1999年)に、新たに「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行され、感染症患者全般に対する人権を尊重した対策がとられることになりました。それに伴い、平成11年(1999年)に「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」が策定され、また、平成24年(2012年)には、予防指針が改正され、関係団体、組織等との連携を強化しつつ、人権や社会的背景を配慮し、地域の実情を踏まえながら対策を推進していくこととしています。
 本県においても、平成11年(1999年)に「宮崎県感染症予防計画」を策定し、エイズ予防キャンペーンや専用電話「エイズホットライン」による相談事業等により、偏見や差別をなくすための正しい知識の普及・啓発に取り組んでいます。
イ ハンセン病患者・元患者等
 ハンセン病は、らい菌による感染症ですが、らい菌に感染しただけでは発病する可能性は極めて低く、現在では、発病した場合であっても、治療方法が確立しています。
 したがって、ハンセン病患者を隔離する必要は全くありませんでしたが、従来、我が国においては、発病した患者の外見上の特徴から特殊な病気として扱われ、古くから施設入所を強制する隔離政策が採られてきました。この隔離政策は、平成8年(1996年)に「らい予防法の廃止に関する法律」の施行により終結しました。
 また、平成13年(2001年)5月11日に熊本地裁において隔離政策について国の損害賠償責任を認める判決が下されましたが、これが大きな契機となって、ハンセン病問題の重大性が改めて国民に明らかにされ、国によるハンセン病患者・元患者※19等に対する損失補償や、名誉回復及び福祉増進等の措置が図られることになりました。
 このため、平成20年(2008年)に「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が制定され、ハンセン病の患者であったことや罹患していることを理由として差別することの禁止やハンセン病患者等への福祉の増進、名誉回復等の措置が講じられています。
 しかし、療養所入所者の多くは、強制隔離の期間が長期に及んだことや高齢化、社会の偏見や差別が未だに存在することなどにより、社会復帰が困難な状況にあります。
 今後とも、エイズ及びハンセン病についての正しい知識の普及・啓発を図るとともに、その本人や家族の人権を尊重し、偏見や差別意識を解消するための啓発活動など、一人ひとりが安心して医療を受けながら暮らすことのできる社会づくりの一層の推進が求められています。

(2) 施策の方向

 エイズ及びハンセン病についての正しい知識の普及・啓発を図ることにより、その本人や家族が尊厳をもって周囲の人々と同じように暮らせる社会づくりとともに、その社会復帰のための体制づくりのため、以下のような施策の推進を図ります。
ア HIV感染者等
  1. ポスター、パンフレットの作成・配布や講演会の開催等のキャンペーンを通じて、エイズに関する正しい知識の普及・啓発に努めます。(福祉保健部)
  2. 保健所におけるエイズ関係の匿名による相談・検査体制を推進します。(福祉保健部)
  3. HIV感染者等の病気や生活上の不安等、心のケアを支援するために、主治医の要請に基づき、カウンセラーの派遣を行います。(福祉保健部)
  4. 学校教育における、エイズ教育等を通じたHIV感染者等に関する正しい知識の普及に努めます。(教育委員会)
イ ハンセン病患者・元患者等
 セミナーや講演会の開催などにより、ハンセン病に関する正しい知識の普及・啓発を図るとともに、療養所の本県出身在園者を対象とした里帰り事業、中学生、高校生等を対象とした療養所訪問事業等を推進することにより、社会復帰に向けての関係機関との支援体制づくりに努めます。(福祉保健部)
8 犯罪被害者等

(1) 現状と課題

 国連では、昭和60年(1985年)に「犯罪及び権力濫用の被害者のための司法の基本原則宣言」を採択し、各国政府は、警察、裁判、医療、社会福祉等の関係機関の職員に十分な教育訓練を行い、司法上・行政上の敏速な対応を進めるため適切な制度整備等を行うことなどが提言されました。また、欧米諸国等では、犯罪被害者等※20支援のための様々なシステム整備が進められており、犯罪被害者等支援は国際的な潮流となっています。
 我が国においては、昭和56年(1981年)、「犯罪被害者等給付金支給法」(現在、「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」に改正)が施行され、その後の改正により給付制度が拡充されています。また、平成12年(2000年)に犯罪被害者等の権利利益の保護を図るため、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」の制定、刑事訴訟法等の改正等一連の法的措置によって、司法手続における改善や保護措置が進められています。
 さらに、平成16年(2004年)に制定された「犯罪被害者等基本法」では、第3条において「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」など3つの基本理念を規定するとともに、同法第4条で「国の責務」、第5条で「地方公共団体の責務」、第6条で「国民の責務」が定められました。また、同法に基づき、平成17年(2005年)に「犯罪被害者等基本計画」、平成23年(2011年)には「第2次犯罪被害者等基本計画」が策定され、各種施策が総合的かつ計画的に推進されています。
 本県では、警察本部において、平成8年(1996年)に「被害者対策要綱」が制定され、平成23年(2011年)には「犯罪被害者等支援要綱」に改定されたほか、平成11年(1999年)に犯罪被害者対策室(現在、犯罪被害者支援室に改称)を設置して、犯罪被害者等の立場に立った支援を行っています。また、平成16年(2004年)4月に設立された社団法人宮崎犯罪被害者支援センター(現在、公益社団法人みやざき被害者支援センターに改称)では、犯罪被害者等支援についての広報啓発、ボランティア相談員等による相談対応や警察、裁判所等への付き添い・仲介などの直接的支援等、専門的・継続的なきめ細やかな支援を行っています。
 しかしながら、現在も様々な犯罪が後を絶たず、犯罪等※21の被害に遭った方の多くは、犯罪等そのものによる直接的な被害だけでなく、それに伴い生じる精神的なショック、再び被害に遭うのではないかといった不安や捜査・公判への対応に係る精神的・時間的負担、あるいは、周囲の好奇の目や誤解、マスメディア等による過剰な報道といった二次的被害にも苦しみ、社会から孤立することを余儀なくされる状況も認められます。
 中でも、性犯罪被害者の場合、被害に遭ったことを周囲に相談しづらかったり、また、相談する場合も自身の被害について繰り返し話さなければならないことで、更に精神的ダメージを受けたり、被害直後のみならず、相当期間を経過しても様々な困難や苦しみに直面しています。
 このため、今後とも、「犯罪被害者等基本法」及び「犯罪被害者等基本計画」に基づき、犯罪被害者等がその受けた被害を回復し、又は軽減し、再び平穏な生活を営むことができるよう、犯罪被害者等のニーズを踏まえた支援策を行うとともに、犯罪被害者等の人権への配慮と保護を図るため啓発活動等を推進する必要があります。

(2) 施策の方向

 犯罪被害者等の心情に配慮し、犯罪被害者等の尊厳にふさわしい処遇を権利として保障するとともに、個々の事情に応じて適切な支援が途切れることなく行われ、かつ県民の理解を得ながら支援の取組が展開されるよう、関係機関・団体の連携と県民の理解と協力のもと、以下のような施策の推進を図ります。
ア 相談・支援体制の充実
  1. 県の各部局が行っている各種の相談窓口や県営住宅への優先入居などの犯罪被害者等支援に関係する各種施策の情報を収集整理し、犯罪被害者等の様々なニーズに迅速に対応できるよう関係機関が共有し、確実な情報の提供に努めます。  また、相談や各施策の窓口で犯罪被害者等の心情に配慮した対応がとれるよう、担当者等の研修の充実に努めます。(総合政策部、総務部、福祉保健部、商工観光労働部、県土整備部、労働委員会、病院局、教育委員会)
  2. 捜査過程における捜査官の言葉や態度が犯罪被害者等の心理状況に及ぼす影響は大きなものがあることから、過剰な負担や二次的被害が生じないよう、犯罪被害者等の心情に配慮した捜査に努めます。
    また、事件発生直後から専門的な犯罪被害者等支援が必要とされる犯罪被害者等に対しては、犯罪被害者等支援システムの充実を図り、犯罪被害者等に対する支援活動を推進します。(警察本部)
  3. 犯罪によって受けた精神的な被害を回復・軽減するために、受けることのできる支援の内容や、刑事手続に関することなど、犯罪被害者等にとって早期に必要な情報や、捜査の状況、加害者の処分状況など、犯罪被害者等の支援に関係ある情報を提供できるよう、手引の作成・配布や被害者連絡制度等、各種施策の推進と充実に努めます。(警察本部)
  4. 犯罪被害者等の経済的負担を軽減するため、利用できる制度の紹介や充実を図ります。
    また、殺人事件の遺族や身体に障がいを負わされた犯罪被害者等に対して国が給付金を支給する犯罪被害給付制度について広報を行うとともに、これを適切に運用し、犯罪被害者等の精神的・経済的被害の緩和を図るよう努めます。(警察本部)
  5. 警察本部並びに各警察署において行っている警察安全相談、暴力相談、少年相談、性犯罪相談等の相談窓口について、今後もその受理体制の充実を図ります。
    また、犯罪により大きな精神的被害を受けた犯罪被害者等に対するカウンセリング体制について、関係機関・団体と連携を図りながら、その充実に努めます。(警察本部)
  6. 性犯罪被害者への支援の充実を図るため、関係機関・団体等と対応体制や取組の整備について検討を行います。(総合政策部、福祉保健部、警察本部)
イ 啓発・研修の推進
  1. 犯罪被害者等を支える環境づくりを進めるため、「犯罪被害者週間(11月25日から12月1日)」を中心として、犯罪被害者等の参加、協力を得て、関係機関・団体と連携、協働して様々な広報・啓発活動を積極的に推進します。(総合政策部、警察本部)
  2. 「公益社団法人みやざき被害者支援センター」との連携を図り、相談事業、直接支援事業、広報啓発活動等の充実を図るとともに、宮崎県犯罪被害者等支援連絡協議会、宮崎県弁護士会犯罪被害者支援委員会等の関係機関・団体との連携を強化し、犯罪被害者等のニーズに沿ったきめ細かな支援に努めます。(警察本部)
  3. 住民に最も身近な行政機関である市町村において犯罪被害者等に必要な支援を行えるよう、県から犯罪被害者等支援に関する各種情報を提供するとともに、市町村の担当職員の研修の機会提供に努めます。(総合政策部、警察本部)
9 インターネットによる人権侵害

(1) 現状と課題

 近年のインターネットの普及に伴い、その匿名性や情報発信の容易さから、個人の名誉を侵害したり、差別を助長する表現が掲載されるなど、人権にかかわる様々な問題が発生しています。
 このため、平成14年(2002年)には「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)が施行され、インターネットによる情報の流通により、自己の権利を侵害されたとする者が、関係するプロバイダ※22等に対し、当該プロバイダ等が保有する発信者の情報の開示を請求できることとなりました。また、子どものインターネット上のトラブルに対応するため、平成15年(2003年)に「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」が、平成21年(2009年)には、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が施行されています。
 インターネットを悪用した人権侵害を防止するため、一般のインターネット利用者やプロバイダ等が、個人の名誉をはじめとする人権に関する正しい理解を深めるための各種啓発活動を展開することが求められています。

(2) 施策の方向

 インターネットを利用する一人ひとりが人権侵害を行わないように人権意識の高揚が重要なため、以下のような施策の推進を図ります。
  1. インターネット利用者が情報モラルを守り、差別的な書き込み等人権を侵害するような情報をインターネット上に掲載しないよう啓発を推進します。(総合政策部)
  2. 行政・保護者や事業者が一体となって、フィルタリングソフト※23の導入等によるインターネットの適切な利用や、メディア・リテラシーの向上に関する広報・啓発に努めます。(福祉保健部、教育委員会、警察本部)
  3. 近年、子どもたちの間でのインターネットを利用したいじめ等の人権侵害が大きな問題となっており、学校においては、情報に関する教科等で、情報の収集・発信における個人の責任や情報モラルについて理解させるための教育の充実に努めます。(教育委員会)
10 性的少数者(性的マイノリティ)

(1) 現状と課題

 性的少数者とは、身体的性別と自分自身が認識している性別が不一致あるいは違和感をもっている「性同一性障がい※24」といった性自認に関する少数者、あるいは、「同性愛」、「両性愛」などの性的指向に関する少数者等のことを指します(最近では、総称して「LGBT※25」と言われることもあります)。
 このような性的少数者は、性の区分や異性愛を前提とした社会の中で、誤解や偏見によっていじめや差別の対象となるなど、様々な問題に直面しています。
 さらに、自身の悩みや苦しみを積極的に打ち明けづらい等の状況から、自殺念慮の割合が高いと指摘されています。
 我が国では、平成16年(2004年)に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行され、一定の要件を満たした場合、戸籍上の性別を変更できることになりました。
 さらに、平成20年(2008年)には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の一部を改正する法律」が施行され、現に子がいる性同一性障がい者であっても、当該子がすべて成年に達している場合には性別の取扱いの変更を認められることになりました。
 また、性的指向に関する差別的取扱いについて、現在では、世界各国において禁止法を制定したり、同性婚を認める等の動きがあります。
 人間を男女の二つの性に分けて固定的に判断することは、性的少数者を「排除」する考えにつながり、その人間性を否定することにもなりかねません。性的多様性を認めあうことがすべての人々の人権を守るために大切です。

(2) 施策の方向

 性的少数者に対する差別や偏見を解消し、その人権を守るためには、学校、職場、地域社会などの周囲の人々が、性的少数者や性に対する多様な在り方について認識し、理解を深めていくことが必要です。
 このため、関係資料の整備等に努めるとともに、研修会、講演会等の開催や啓発資料の配付等を通じて、教育・啓発活動の推進を図ります。
 また、性同一性障がいで悩んでいる児童生徒については、相談に応じるとともに、必要に応じて関係医療機関との連携に努めます。(総合政策部、教育委員会)
11 刑を終えて出所した人

(1) 現状と課題

 刑を終えて出所した人に対しては、本人に真摯な更生の意欲がある場合であっても、県民の意識の中に根強い偏見や差別意識があり、就職や住居の確保に際して大きな障害となるなど、社会復帰を目指す人たちにとって現実は極めて厳しい状況にあります。
 我が国においては、平成19年(2007年)6月、従来の「犯罪者予防更生法」と「執行猶予者保護観察法」を整理・統合した「更生保護法」が制定され、保護観察における遵守事項の整理・充実や受刑者等の社会復帰のための生活環境の調整等が図られています。
 また、犯罪対策閣僚会議においては、平成24年(2012年)7月に「再犯防止に向けた総合対策」が決定されたほか、平成25年(2013年)12月には「犯罪の繰り返しを食い止める再犯防止対策の推進」を施策の一つとして盛り込んだ「『世界一安全な日本』創造戦略」が決定されています。
 現在、刑を終えて出所した人に対しては、保護司、更生保護女性会、BBS会※26等の民間更生保護ボランティアや、就労を支援する協力雇用主、更生保護法人等によって支援が行われているほか、法務省では「更生保護の日」である7月1日から1箇月間を強調月間として「社会を明るくする運動」に取り組んでいます。
 刑を終えて出所した人が真に更生し、社会の一員として円滑な生活を営むことができるようにするためには、本人の強い更生意欲とともに、家族、職場、地域社会など周囲の人々の理解と協力が欠かせません。
 そのため、刑を終えて出所した人に対する偏見や差別意識を解消し、その社会復帰に資するための啓発活動を今後も積極的に推進する必要があります。

(2) 施策の方向

  1. 刑を終えて出所した人について、その人権を守るために、偏見や差別をなくし、社会復帰に資するための啓発等を行います。(総合政策部)
  2. 高齢又は障がいにより、福祉的な支援を必要とする刑務所等の出所予定者及び出所者等に対して、出所後直ちに福祉サービス等につなげるため、県の運営する「宮崎県地域生活定着支援センター」と保護観察所等が連携を図りながら、出所前から一貫した相談支援を行うことで、その社会復帰を支援し、再犯防止の推進を図ります。(福祉保健部)
12 北朝鮮当局による拉致問題等

(1) 現状と課題

 平成14年(2002年)9月の日朝首脳会談において、北朝鮮は長年否定していた日本人の拉致を初めて認めて謝罪し、再発の防止を約束しました。政府が認定している拉致被害者は17人ですが、これまでに帰国した5人を除く拉致被害者の安否については、未だ北朝鮮当局より納得のいく説明がされておらず、政府は、拉致被害者の即時帰国、真相究明及び拉致実行犯の引渡しを強く要求しています。
 政府が認定している拉致被害者(17人)のうち、原敕晁(はら ただあき)さんは昭和55年(1980年)6月に宮崎市内で拉致されています。また、北朝鮮による拉致の疑いのある失踪事件について調査を行う民間団体の「特定失踪者問題調査会」では、拉致された疑いが否定できない失踪者(特定失踪者)として、本県関係者4人を含むリストを公開しています。
 このような拉致問題に関し、平成15年(2003年)に「北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律」(拉致被害者支援法)が施行され、帰国した被害者等に対して、国や地方公共団体は、日常生活の支援や住宅の供給、雇用の機会の確保、教育の機会の確保等について必要な施策を講じることとされました。
 また、平成17年(2005年)12月の第60回国連総会において採択された「北朝鮮の人権状況に関する決議」を踏まえ、拉致問題等に対する国民の認識を深めることを目的に、平成18年(2006年)に「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」(北朝鮮人権法)が施行されています。
 拉致問題等の真相を究明し早期に全面解決するためには、県民一人ひとりが拉致問題等に対する関心と理解を一層深めていくことが重要となっています。

(2) 施策の方向

ア 国の施策等に関する要望活動
 全国知事会や九州地方知事会、都道府県国際交流推進協議会を通じ、拉致問題の解決を求める国への要望を行います。(総合政策部)
イ 拉致問題に関する地方自治体ネットワークへの参加
 新潟県の提唱により、平成18年(2006年)に発足した「拉致問題に関する地方自治体ネットワーク」に参加し、拉致問題についての情報交換等を行います。(総合政策部)
ウ 広報活動
 市町村・関係団体等とも協力し、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間(12月10日~16日)」を中心に、啓発ポスターや啓発懸垂幕の掲出、県の広報誌やマスメディアを利用した広報、拉致問題に関する写真展などを行います。(総合政策部)
エ 相談等
 拉致に関する相談の受理、拉致に関する情報の収集等を行います。(警察本部)
オ 学校教育
 北朝鮮による日本人拉致問題啓発の視聴覚教材等を活用して、児童生徒の発達段階に応じて、拉致問題等についての正しい理解と認識を深めるための取組を推進します。(総合政策部、教育委員会)
カ 帰国した被害者等に対する支援
 「拉致被害者支援法」に基づいて、国や市町村等との関係機関と連携し、日常生活支援や住宅の供給、雇用の確保等、幅広い支援を行います。(福祉保健部)
13 その他
 これまで述べてきた人権問題のほかにも、アイヌの人々などの問題や災害等に起因する人権問題など様々な課題が存在しています。
 特に本県では平成22年(2010年)に発生した口蹄疫によって、宮崎ナンバーという理由で取引を断られたり、出入りができなくなるなど、風評被害が起きました。最近では、平成23年(2011年)3月11日に未曾有の大災害となった東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響のため、避難や転居を余儀なくされた人たちに対する根拠のない風評に基づいた偏見や差別など、被災者を二重に傷付ける出来事も発生しています。
 そのため、その他の人権に関する課題においても、その問題の原因となっている偏見や差別をなくし、一人ひとりの人権が尊重されるよう、それぞれの問題の特性に応じた人権教育・啓発の推進を図ります。

第5章 方針の推進

1 県の推進体制
 方針の総合的かつ効果的な推進を図るため、関係部局相互の緊密な連携・協働の下に全庁的な取組を推進することとします。
 なお、各部局は、この方針の趣旨を十分に踏まえて、施策の実施に当たることとします。
2 国、市町村との連携
 方針に基づく人権教育・啓発の推進を図るために、国や市町村との役割分担を踏まえつつ、密接な連携・協働の下に取組を進めていきます。
 特に県民にとって一番身近な市町村において、地域の実情に即して行われる人権教育・啓発は、より大きな効果が期待されることから、情報の提供、事業の支援等、その連携・協働の強化に努めます。
3 民間団体との連携
 人権問題が複雑化・多様化する中、方針に基づく人権教育・啓発を総合的に推進するために、民間団体との連携・協働に努めます。
 特にNPO等は個別課題に柔軟に対応できるなど優れた特性をもっていることから、様々な要望に対応した人権施策を実施するためにNPO等の自主性や自発性を尊重しながら、その連携・協働に努めます。
4 施策の点検及び方針の見直し
 方針の目標を達成するため、毎年、方針に基づく施策の実施状況を点検し、その結果を以後の施策に適正に反映させるように努めます。
 なお、実施状況については県民へ公開します。
 また、今後の人権問題を取り巻く国際的な動向や、国の状況及び社会情勢の変化等へ適切に対処するため、県民の人権に関する意識の状況を把握し、必要に応じてこの方針の見直しを行います。

3 改定後の宮崎県人権教育・啓発推進方針(全文)

【改定】宮崎県人権教育・啓発推進方針(全文)【PDFファイル:493KB】